先般ノーベル賞受賞者たちが口を揃えて「もう日本の教育はダメだ」といったのは、授業時間が少ないとかいうレベルのことではない。<br/> 官民一体となって「子どもたちが学習内容そのものにではなく、学習した場合に得られる報酬の獲得に熱中している」という教育システムに対して、「それではバカしか生まれない」とおっしゃっていたのだと私は理解している。<br/> 現に、超難関校といわれる大学を出た若者と話していて、あまりにものを知らないので、びっくりすることがよくある。<br/> 教養がないというレベルにとどまらず、専門課程で学んだはずの知識さえおぼつかない。<br/> どうして、そんなにものを知らないのかと訊ねると、破顔一笑して、「いやあ、大学では全然勉強しなかったですから」と誇らしげな様子をする。<br/> どうして、勉強しなかったことをこれほど自慢するかというと、それでも超一流校の学位記を獲得した自分のふるまいが「クレバー」だと思っているからである。<br/> だって、わずかな苦役で大きな報酬を手に入れたわけだからである。<br/> 「ぜんぜん勉強しないで東大出ちゃいました」というのは、キーボードをちゃかちゃか叩いただけで1分間で数億円稼いだとか、1000円でベンツを買ったとか、それに類する「スーパー・クレバーな商品取引」なのである。<br/> 消費者マインドに立てばそういうことになる。<br/> 「学校なんかぜんぜん行ってねっすよ」「教科書なんか開いたことない」「試験なんか、ぜんぶ一夜漬けで、あとカンニング」というような言葉が「ほとんど誇らしげ」に口にされるのは学校教育で競われているのが「何を学んだか」ではなく「いかに効率よく競争に勝つか」だと彼ら自身が信じているからである。
— <p><a href="http://blog.tatsuru.com/2008/11/16_0928.php" target="_blank">費用対効果教育 (内田樹の研究室)</a></p> <p>ううう…。</p> (via <a href="http://clip.daijihirata.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">hirata</a>)