<p>それでは実際に、伽藍の世界を見てもらおう。これは日経新聞2010年9月16日付夕刊に掲載された、「経済今昔物語」という記事だ(画像をクリックで拡大)。</p> <p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2010/10/nikkei2.jpg" rel="lightbox[807]" target="_blank"><img src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2010/10/nikkei2-123x300.jpg"/></a></p> <p>2枚の印象的な写真はどちらも日本航空(JAL)の入社式で、上は2010年、下が四半世紀前の1986年に撮影されたものだ。</p> <p>キャプションにもあるように、現在の入社式では、新入社員は男も女も黒のスーツに白のシャツで、靴や髪型までほとんど同じだ。これは、会社が定めた 服装規定ではない。新入社員たちが、誰の指導も受けず、伝統や慣習とも無関係に、自分たちだけで(自生的に)I生み出した秩序だ。</p> <p>それに対して86年の入社式では、タータンチェックやワンピース、白のハイヒールも当たり前で、髪型もさまざまだ。「人類は時代とともにより自由になっていく」という楽観的な進歩史観からすれば、この2枚の写真は衝撃的だ。なぜこんなことになってしまうのだろう。</p> <p>新しくJALに入社する若者たちを支配するルールは一目瞭然だ。</p> <p><strong>他人と同じことをして、けっして目立たないこと。</strong></p> <p>彼ら/彼女たちは、このネガティブゲームの掟を学校という伽藍空間で身につけた。「会社」という新たな伽藍空間に入っていくに際して、同じ掟に従うのは当たり前なのだ。</p>
— <a href="http://www.tachibana-akira.com/2010/10/807" target="_blank">伽藍の世界 | 橘玲 公式サイト</a> (via <a href="http://whimsy.tumblr.com/" target="_blank">whimsy</a>)