この選抜試験で、福山にとって忘れられない出来事があった。それは、第2次選抜の面接試験が終わった日の、帰り道のこと。福山は、同じく面接試験を受けた、一人の女性応募者と一緒に駅に向かって歩いていた。<br/>  試験が思うようにいかなかった福山は、弱気になっていた。そしてこの女性に、思わず「もしかしたらダメかもしれない」と打ち明けてしまった。夢にまで見つづけてきたチャンスなのに力を出し切れなかったと落ち込む福山に、女性は満面の笑顔で明るく言った。<br/> 「そんなことは絶対にないよー! 一緒に宇宙に行こうよー!」<br/>  その女性こそ、日本人女性として初めて宇宙飛行士に選ばれた、向井千秋さんだった。<br/>  向井さんも、福山と変わらぬ立場にあった。面接はもちろん、2次選抜の結果が気になっていたはずだ。それなのに、競争相手である自分を気遣い、励ます余裕を見せた。<br/>  そんな前向きな向井さんを見て、福山は「ああ、こういう人が宇宙に行くのだろうか」と感じたという。
— <a href="http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&amp;pg=20100717" target="_blank">活字中毒R。</a> (via <a href="http://suchi.tumblr.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">suchi</a>)